第2回日本医療政策学会学術集会 開催報告
2026年7月13日
2026年6月20日(土)に京都大学(百周年時計台記念館 百周年記念ホール、法経済学部本館および東館)にて、第2回日本医療政策学会学術集会が開催されました。総勢357名の方にご参加いただきました。本学術集会は、72題の一般演題を含む医療政策に関する多様な視点からの発表と議論を通じて、日本の医療の未来を考える上で大変有意義な機会となりました。
大会長の近藤尚己(京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 社会疫学分野)の下、今回の学術集会は「公正性と包摂性を目指すEBPM―『誰も取り残さない』医療政策のマネジメントと評価を考える」をテーマに掲げ、終日にわたって多彩なプログラムが展開されました。
午前中は、健康格差・アクセス格差、公衆衛生・予防政策、医療財政・医療経済、医療の提供・利用をテーマとした一般演題(口演)が各会場で並行して行われたほか、日本医療・病院管理学会とのJoint Session、学生セッション「日本医療のこれから15年を語る~識者と学生の対話から展望する2040年の医療制度~」、企画シンポジウム①「『誰も取り残さない』ケアのEBPM」が開催されました。
午後には、イチロー・カワチ氏(ハーバード大学)による基調講演「社会政策とウェルビーイング:日本社会の3つのパラドクスからの考察」が行われ、国際的視点から日本の医療・社会政策に関する深い洞察が共有されました。続くメインシンポジウム「包摂で公正な医療の普及に必要なエビデンスは何か:高額療養費制度を例に」では、天野慎介氏(全国がん患者団体連合会)、國頭英夫氏(日本赤十字社医療センター)、中対剛氏(京都大学)、阿部圭史氏(衆議院議員)が登壇し、市川衛氏(武蔵大学)のモデレートのもと、患者など当事者とともに制度見直しを進めるために必要なエビデンスと合意形成のプロセスについて、活発な議論が交わされました。
その後、企画シンポジウム②「民主社会の医療政策形成において今後のSPHに期待すること」では、これまでの公衆衛生大学院(SPH)の医療政策への貢献を振り返りつつ、次世代に向けた役割について議論が深められました。また、企画シンポジウム③「医療政策形成と実装をつなぐ対話―多様な組織の提言から共通課題と将来像を整理する―」では、多様な組織の視点から政策形成と実装をつなぐための議論が展開されました。
総会後にはYoung Investigator Awardの最優秀賞1名、優秀賞2名が発表されました(最優秀賞:八木麻未さん(大阪医科薬科大学/和歌山県立医科大学)、優秀賞:池洲諒さん(京都大学)、平山貴一さん(京都大学))。ランチョンセミナーでは、株式会社JMDCおよびノバルティスファーマ株式会社の協賛のもと、「AIエージェント時代のEBPM」や「日本の創薬エコシステム構築によるイノベーション促進」をテーマとした講演が行われました。午前・午後のセッションと並行して、ポスター演題の発表も行われ、隣接する企業・団体からの出展展示とあわせて、多くの方々に、ポスターブース及び展示ブースにお立ち寄りいただきました。
本学術集会は、研究者・政策立案者・医療従事者・産業界・患者など多様なステークホルダーが一堂に会し、公正で包摂的な医療政策の実現に向けた多角的な議論を行う、大変有意義な機会となりました。ご参加いただいた皆様、ご協力いただいた関係者の皆様に心より御礼申し上げます。
当学会では、引き続き医療政策に関わる多様な主体が交流する「場」を提供し、エビデンスに基づいた意見交換を通じて、日本の医療政策におけるEBPMの実現を推進してまいります。